耐震等級3の壁量は建築基準法の2倍?

耐震等級 構造関連

耐震等級3の壁量は建築基準法の2倍?

耐震等級1=建築基準法の必要壁量 耐震等級2=耐震等級1の1.25倍 耐震等級3=耐震等級1の1.5倍

一般的に、上記に記したように、
耐震等級3は建築基準法の必要壁量の1.5倍だと思っていました… 

今回建築士の定期講習に行ってきました。 

建築士定期講習テキストに記載してあり、講義も受けたのですが、
耐震等級3の壁量は、建築基準法の必要壁量の2倍程度あることがわかりました。 

構造計算をすると、
壁量設計よりも壁量が増えることや、
耐震等級2・3にすると、
本当に1.25倍?1.50倍?っと思っていましたが、
このもやもやがスッキリしました。 

まず性能表示では、
耐震等級1は建築基準法を満たせていれよく、
壁量の数値が具体的に規定されていません。

表1の耐震等級2の必要壁量
一般地域 多雪区域
積雪深1m 1~2m 積雪深2m
軽い屋根 1階 45・K1・Z (45・K1+16)・Z 直線補間 (45・K1+32)・Z
2階 18・K2・Z 34・K2・Z 50・K2・Z
重い屋根 1階 58・K1・Z (58・K1+16)・Z 58・K1+32)・Z
2階 25・K2・Z 41・K2・Z 57・K2・Z
K1:0.4+0.6Rf
K2:1.3+0.7Rf
Rf=2階床面積/1階床面積
Z:地震地域係数

まずは表1の耐震等級2の必要壁量を、
1.25で除して、性能表示の耐震等級1相当の値を求めます。
求めた数字を表にしたものが表2。

表2 性能表示(耐震等級1相当)の必要壁量
平屋建て 2階建て・2階 2階建て1階
軽い屋根 14.4 19.7 36
重い屋根 20 27.4 46.4
そもそもの、
建築基準法上の必要壁量を示します。(表3)
表3 建築基準法上の必要壁量
平屋建て 2階建て・2階 2階建て1階
軽い屋根 11 15 29
重い屋根 15 21 30
表2と表3を比較し、
性能表示(耐震等級1相当)の必要壁量に比べて、
建築基準法上の必要壁量の比率を表にします。(表4)
表4 性能表示(耐震等級1相当)の必要壁量に比べて、建築基準法上の必要壁量の比率
平屋建て 2階建て・2階 2階建て1階
軽い屋根 0.76倍 0.76倍 0.80倍
重い屋根 0.75倍 0.76倍 0.71倍
上記表4により、
性能表示(耐震等級1相当)の必要壁量に比べて、
建築基準法上の必要壁量は0.71倍~0.80倍になっていて、
重屋根の場合、総2階建ての1階部分では0.71倍も少なくなっています。
この様になる理由として、
建築基準法の壁量計算が前提としている木造住宅の重さが軽いためです。
建物の重さは地震力に直結していて、重いほど地震力は大きくなります。
基準法・壁率 性能表示・壁率
軽い屋根 588(60kgf) 931(95kgf)
重い屋根 882(90kgf) 1274(130kgf)
588(60kgf) 外壁734(75kgf)
内壁196(20kgf)
490(50kgf) 588(60kgf)
積載荷重 588(60kgf) 588(60kgf)
表5により、
各部位で建築基準法の想定は軽いことがわかります。

ですので、建築基準法の必要壁量では、建物の重さを軽く想定しているため、
構造計算する場合に必要な耐力より小さくなる。

まとめ 建築基準法の壁量設計と、 性能表示の壁量設計は、根本的な数字が異なります。

 

性能表示の耐震等級3は建築基準法の1.5倍の性能となってはいますが、 正しくは、性能表示の耐震等級3は耐震等級1相当の1.5倍であり、 耐震等級1相当は建築基準法の1.34倍。

つまり、耐震等級3は建築基準法の約2倍に相当します。

耐震等級の表

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